「7」

おいらが彼を生で見たのは、代表に召集され始めた頃のダイナスティカップ。たぶん(^。^;)・・・
国立での対中国戦だった。試合は負けたのか引き分けだったか忘れた。
が、金髪の彼の姿は忘れられなかった。
コーナーキックを蹴る彼の姿。
年上の選手を怒鳴りつける彼。
ルーパスを通した後の彼の姿。
かれこれ20年間、閑古鳥が鳴く国立での天皇杯決勝からサッカーを見てたおいらには衝撃的だった。
今まで日本にこんな選手はいなかった。その夜からおいらは彼のファンになった。
その後のおいらは彼を追い続けた。そしてペルージアへ!
移籍した年の三月。イタリアに行って彼を見た。
イタリアで彼は輝いていた。チームの中心選手になっていた。
興奮した。サッカーでこんなに興奮したのは久しぶりだ。
ペルージアからローマへ。
王子様トッティはあからさまに彼に敵対心を燃やしていた。
スタメンではない同い年である彼に、トッティは恐怖を感じていた。
彼のローマ加入でトッティは確実に変わった。彼がいなければ王子様のままで終わっただろう。
スクデットを取った年のユーベ戦でのミドルシュート
見ていて鳥肌が立った。同じ日本人があそこにいることに感動した。
その後彼はパルマボローニャ、フィオ、ボルトン・・・
守備的なポジションで、彼本来のポジションではない所で彼はもがいていた。
しかし、彼は自分の中の「誇り」を決して忘れる事はなかった。
彼にとっての本物のWC、ドイツWC。
彼は代表にプロ意識を植え付けようとした。
代表と言う「誇り」を持たせようとしていた。
自分の性格を曲げてでも彼はチームに尽くそうとした。
しかし、それは通じなかった。他の選手には何も伝わらなかった。
最後の試合。
終了の笛が鳴り、彼は芝生に寝た。そして泣いた・・・
彼が人目を憚らずに泣くなんて事が・・・
それほどまで彼はサッカーを、代表を愛していた。
彼の涙が今後の代表に活きるか死ぬかわからない。
だが、おいらは彼のあの姿を一生忘れないだろう。
彼の見せてくれたサッカーを一生忘れないだろう。
彼の背中で絶えず動いていた「」を・・・
中田英寿
これほど好きになった選手はいなかった。
貴方を生で見れて私は幸せでした。
私が言いたい、
「ありがとう」